アフィリエイトを行う際に生じるトラブルとは? ~副収入は安全に稼ぎましょう~
ここ数年、自身のインターネットサイトやブログ等のオウンドメディアを持つ方が増えています。オウンドメディアを持つ方は、自身のメディアでアフィリエイトによる収益を得ることも可能ですが、その際に気を付けるべき法律問題について、この記事で解説します。
主にすでにアフィリエイトをしている方、もしくはこれから始めようとしている方がこの記事を読むことで、
・ 主にASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)との関係
・ 広告を閲覧した方との関係
で法律上問題になる可能性が高い点について、理解していただくことが出来ます。
そもそも「アフィリエイト」とは?
まずは「アフィリエイト」に馴染みの無い方のために、「アフィリエイト」とは何かを簡単に説明します。
「アフィリエイト」とは、ある者のホームページやブログ等の中に、商品やサービスのサイトに飛ぶことができる広告リンクを張り、利用者がそのリンクを経由してリンク先の商品やサービスを購入したりすると、ホームページやブログ等の開設者に報酬が支払われる仕組みのことです。アフィリエイトを行う一のことを一般的に「アフィリエイター」といいます。
ホームページやブログを開設する方が副業等でアフィリエイトを行う傾向が増えています。
アフィリエイトの法律関係
次に、アフィリエイトの法的構造についてご説明します。
多くの場合、広告主とアフィリエイターとの間にアフィリエイトサービスプロバイダ(ASP)という仲介業者が介在します。「ASP」等でネット検索をしていただくと多くのサービスプロバイダがありますが、例えばAmazonでの商品の購入を閲覧者に呼びかけるアフィリエイトを行うためには、「アマゾンアソシエイト」に登録をする必要があり、Amazonの場合はこの「アマゾンアソシエイト」がASPに該当します。
この場合、一般的に、広告主がASPとの間でアフィリエイトサービスに関する契約を締結して、広告主からASPに支払われる手数料等の取り決めをします。ASPはさらに、個別のアフィリエイターと契約し、閲覧者がアフィリエイターの広告のクリックや、商品やサービスの購入に至った場合の報酬の額等について取り決めます。
さらに詳しく知りたい方は、以下の書籍を参考にされるとよいと思います。
アフィリエイトの法的リスク
さて、アフィリエイトでは自分以外の商品やサービスの広告を行うことになりますが、アフィリエイトを行う方は、どのような場合にどのような法的リスクを負う可能性があるのでしょうか。
以下では、消費者としての立場と、広告を行う事業者としての立場に分けてご説明します。
アフィリエイターの消費者としての立場
アフィリエイターは、事業者であるASPと、自身のサイト等で広告を貼る契約を締結するのですから、ASPにとっては、自社のサービスの消費者です。
ASPとの間で生じる可能性がある問題は主に以下の2つです。
① まず、ASPとの間で、報酬の発生条件や価格等の契約条件について十分な説明を受けないまま契約を締結することでトラブルとなることです。もちろん、具体的に全ての場合の報酬の額について事前に確認することは不可能に近いですが、契約条件については、可能な限り申込み前にASPに確認をするのが望ましいといえます。
② また、これはASPとの間でのことに限りませんが、「こうすればアフィリエイトで不労所得が得られる」等と勧誘し、アフィリエイトのための機材や情報財の購入費用として高額を支払わせる商法が存在します。
そのような被害に遭い、高額を支払わされたものの、アフィリエイトで十分に収益を得られなかった、という相談を受けたことがあります。
詐欺による不法行為として、損害賠償請求が認められる場合もありますが、詐欺の立証は簡単ではないうえ、損害賠償請求を受ける時点では実体を消してしまい連絡すら取れない悪質な業者も存在します。
アフィリエイターの事業者としての立場
アフィリエイターが掲載した広告自体の内容に問題があり、サイトの閲覧者に損害を与えてしまった場合、アフィリエイターは法的責任を負うのでしょうか。
景品表示法5条は、「自己の供給する商品又は役務の取引」について、不当な表示(すなわち広告のこと)をしてはならない、と定めていますが、アフィリエイターは自分自身の商品やサービスを供給するわけではないので、アフィリエイターは景品表示法上の責任は負いません。
また、アフィリエイトは、いわゆる通信販売にも該当しません。ですので、通信販売について適用される「特定商取引に関する法律」による規制の対象にはなりません。
もっとも、
・ 広告のうち、アフィリエイターが記載した部分の表現が原因となり消費者に損害を発生させた場合
・ アフィリエイターが、広告主の広告が不適切であると認識しながら、その広告を放置して自身のサイトに掲載し続けていた場合
等、問題のある広告を掲載するにつきアフィリエイターに故意もしくは過失がある場合には、アフィリエイターが民事上の損害賠償責任を負う可能性もあります。