「ステマ」はどこまでOK? ~ステマにまつわる広告規制を弁護士が解説~

 インターネット広告には様々なものがありますが、いわゆる「ステマ」も多く見られます。

 この「ステマ」がダメなことなのか、どのようなステマなら良いのか、法的な観点から整理しました。インターネット広告においてステマの依頼を受けることがあるアフィリエイターの方などは、本記事を読むことで、ステマを行う際のルールを把握することができます。

「ステマ」とは何か?

 「ステマ」は「ステルスマーケティング」の略称ですが、マーケティングの手法のうち、それが宣伝であると消費者に悟られないように宣伝を行うことです。

 ステルスマーケティングは、当該商品やサービスを売りたい事業者から金銭をもらいながらも、中立的な立場での批評を装って行われるのが一般的であり、消費者に対して情報の主体を偽り、消費行動を誤らせやすい行為です。

 このことから、ステルスマーケティングは後述のように、

・ JIAA「インターネット広告掲載に関するガイドライン」

・ 景品表示法

の双方によりルールが定められています。

JIAA「インターネット広告掲載に関するガイドライン」によるルール

JIAA「インターネット広告掲載に関するガイドライン」とは

 JIAAの「インターネット広告掲載に関するガイドライン」とは、JIAA(一般社団法人日本インタラクティブ協会、Japan Interactive Advertising Associationの略)が定めたガイドラインであり、インターネット広告に関する様々なルールがまとめられています。

 このガイドラインはあくまで一団体の自主ルールであり、これを守らなかったとしても罰則等はありません。しかし、大手の広告代理店や媒体社が会員となっているJIAAが策定したルールであり、消費者保護に視点が置かれていることから、インターネット広告の業界におけるコンプライアンスの基準となっていくことが予想されますので、下記のルールに合わせることをお勧めします。

 

JIAAのガイドラインによるステマ規制

 JIAAのガイドラインでは、広告につき、

① 広告であることの明示

② 広告主体者の明示

が必要とされています。

 ①広告であることの明示とは、表示されるインターネットページのうち、広告を表示しているエリアと記事・コンテンツのエリアを明確に分けることです。このために、例えば広告に、

「広告」「AD」「PR」

等と表記をすることが推奨されています。

 ②広告主体者の明示とは、広告の送り手である広告主を明示し、加えて媒体社が関与している場合には両者の関係性を明らかにすることにより、広告の責任の所在を明確にすることです。例えば、広告主からの金銭の授受はないが商品をもらった、という場合に、「商品をもらって使ってみた」等と表示することで、この要件を満たすことができます。

 

景品表示法における規制

 次に、法律との関係では、景品表示法(正式名称:不当景品及び不当表示防止法)の規定に反しないことが必要です。

 景品表示法第5条は、主に以下の2つの類型の表示を行うことを禁止しています。

 

① 商品等が「実際のもの よりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示」(優良誤認表示

② 商品等が価格、数量、アフターサービス、保証期間、支払い条件等の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示」(有利誤認表示

 

 上記のような各表示が一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるものであれば、そのような表示行為は禁止されています。

 「ステマ」についても、上記①②のどちらかに該当すれば、景品表示法に違反する可能性があります。

 ①優良誤認表示  については、どの程度であれば商品等が「著しく優良」と示す表示にあたるか、が問題となります。消費者庁の「不実証広告規制に関する指針」では、

「商品・サービスの内容について、実際のものよりも著しく優良であると示す又は事実に相違して当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示とは、一般消費者に対して、社会一般に許容される誇張の程度を超えて、商品・サービスの内容が、実際のもの等よりも著しく優良であると示す表示である」

としています。

 つまり、広告宣伝に通常含まれる程度の、いわゆる「誇張」は上記の優良誤認表示にあたりませんが、「誇張」という程度を超えて、当該商品等を優れているものであると示すのは、優良誤認表示にあたる、ということになります。

 次に、②有利誤認表示  については、価格の点で、他の商品の価格や、以前の同じ商品の価格より著しく有利であることを示す表示が問題になります。

 ステマでも、他の商品との比較で、当該商品を持ち上げるようなものをよく見かけます。単純な比較であれば「誤認」を表示させるものとはいえませんが、他の商品の価格について、高いときの価格を不合理に取り上げて当該商品の価格と比較する等しますと、②有利誤認表示に該当する可能性が生じることになります。

アフィリエイトと景品表示法の適用範囲

 アフィリエイトでステマを行う際に、どの範囲で上記の景品表示法上の規制が適用されるのか、注意が必要です。

 原則として、景品表示法上の「表示」として同法の規制対象となるのは広告の部分であり、記事とアフィリエイト広告をきちんと分けておけば、記事の部分について景品表示法の規制は適用されません。

 もっとも、記事の部分について、やはり閲覧者に誤解を与えるような表現は避けるべきでしょう。

まとめ

 「ステマ」は、それだけで直ちに違法となるわけではありませんが、上記のルールを守ったうえで行う必要があります。

 インターネット広告の世界では、広告代理店等を通さなくても、アフィリエイター等、個人の方が広告を出せる状態ですが、広告を出すにあたっては、上記の

・ JIAA「インターネット広告掲載に関するガイドライン」

・ 景品表示法

を始めとした様々な法律、ルールを意識する必要があるといえます。

 

 なお、関連するものとして、以下のアフィリエイトに関する記事がありますのでご参照ください。

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