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ECサイト運営にまつわる法律問題 ~BtoC取引の場合・その②~

 前記事「ECサイト運営にまつわる法律問題 ~BtoC取引の場合・その①~」

ECサイト運営にまつわる法律問題 ~BtoC取引の場合・その①~

では、特定商取引法、電子契約法に関するルールをご説明しました。

 本記事では、その続編として、ECサイトを製作するにあたって最初にチェックしておきたい以下の点についてご説明します。

・ 個人情報保護法とプライバシーポリシー

・ 迷惑メール規制

ECサイト運営と個人情報保護

個人情報保護とプライバシーポリシー

 ECサイトで商品やコンテンツの販売等を行うにあたり、注文者の氏名や住所等の個人情報を扱うことになりますので、注文者のプライバシー(個人情報)の保護に配慮する必要があります。

 そこで、プライバシーポリシー(個人情報保護方針)により、

・ 注文者等の個人情報をどのような目的・方法で収集するのか

・ どのような取り扱いをするのか(情報保護の手段や管理体制)

をサイト上で示す必要があります。

 そして、上記のような点については、個人情報保護に関する法律(個人情報保護法)でルールが定められていますので、プライバシーポリシーは、この個人情報保護法に沿ったものである必要があります。

 具体的な内容については「プライバシーポリシー作成における注意点」の項目でご説明しますが、個人情報を扱う場合には一定の事項を外部に表示しなければならないことが個人情報保護法で定められていますので、このプライバシーポリシーはECサイトに必要なものとなります。

プライバシーポリシー作成における注意点(個人情報保護法のルール)

 個人情報保護法には、以下の通り、プライバシーポリシーを作るにあたって知っておくべきルールがあります。

① 個人情報の利用目的の明示・特定

 個人情報を収集するにあたっては、

・ 個人情報を利用する目的をできる限り特定し

・ その目的を「公表」もしくは「本人の知り得る状況」におかなければならず、

・ あらかじめ本人の同意を得ない限り特定された利用目的を超えて、個人情報を利用・保持してはならない

とされています(個人情報保護法15条・16条・18条)。

 そこで、プライバシーポリシーでは、このルールに従った、個人情報の利用目的に関する条項を入れる必要があります。

 利用目的の「特定」といっても、あまりに限定しすぎてしまいますと、新たな利用目的が生じる度に改訂が必要になりますので、例えば広めに

当サイトにおける個人情報の取得は、当サイトで提供するサービスの充実ならびに円滑な提供を目的とし、その目的達成に必要な範囲内で行います。

等と記載することが望ましいです。

② 個人情報を第三者に提供する場合の同意の取得

 EC事業者が、消費者から得た個人情報を第三者に提供することがあります。このような個人情報の第三者提供は、意外と多く行われています。

 例えば、

・ 他の事業者と提携してEC販売をする場合

・ 商品の配達を配達業者に依頼する場合

・ Cookieにユーザーの個人情報を提供する場合

等です。

 このように個人情報を第三者に提供する場合には、本人から同意を得る必要があるのが原則とされています(個人情報保護法23条)。

 具体的には、第三者に個人情報を提供することが想定される場合には、プライバシーポリシーにその旨を明記し、そのプライバシーポリシーに同意をもらう、という方法が一般的です。

プライバシーポリシーは他サイトのコピペでよいか?

 このプライバシーポリシーですが、どのサイトでもほぼ同じように書かれているように見えます。そこで、他のサイトのコピペでよいのでは?という考えもありうると思います。

 結論としては、コピペをするのはOKですが、他社のものを張り付けるのみ、というのはお勧めできません。

 これは、個人情報取得の目的や第三者利用等に関する条項については、サイト毎に異なりますので、個別にカスタマイズする必要があるためです。

 

広告メール送信に関するルール

メールを送ることの事前の同意が必要

 セールス等を目的とした、いわゆる広告メールの送信についても、全く自由に送ればよいというわけではなく、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(特定電子メール法)に、ルールが定められています。

 具体的には、広告メールの送信は、事前の同意なく送付してはならないのが原則とされています(特定電子メール法3条1項)。

 なお、ここで規制の対象になるのは、あくまで広告のメールです。ECサイトでの注文に関連して商品発送のお知らせメールや注文内容の確認メールを送信する場合には、規制の対象になりません。

有効な同意の取り方とは?

 そして、この「事前の同意」の取得方法についても以下のようなものである必要があります。

・ 広告メールが送信されることを受信者が認識していること

・ メールを受信する者が賛成の意思表示をしたと言える状態にすること

 具体的には、次のような観点から適正な「同意」が取得されているかどうかが判断されます。

ア)通常の人間であれば広告・宣伝メールの送信が行われることが認識できるような方法で説明等が行われていること

イ)賛成の意思表示があったといえること

 なお、「事前の同意」については、総務省の「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」

(file:///C:/Users/ya/Downloads/㎡_mail_081114_1.pdf)に、さらに詳しく説明されてい

ますので、適宜ご参照ください。

 ECサイト作成・運営に関するルールについては、以下の記事も併せてご参照ください。